2016欧州自転車旅行記(4/28)

4月28日(木)  晴れ ミュンヘン(München)→スイス・ヴァレン湖(Walensee)
時差ボケが残っているものの、早起きの癖は変わりません。6時前には目が覚めてしまい、朝食まで時間を持て余すのでマリエン広場まで散歩しました。早朝の閑散とした繁華街の様子はドイツも日本も同じです。商品の搬入で忙しく人が動き回っている店が幾つかありますが、人通りはほとんどなく昼間の喧騒は嘘のようです。ただ、ドイツ特有の街の姿なのでしょうか、パン屋さんだけは煌々と電灯が輝き、店内で人が動いています。これは昨年、北西ドイツのメルヘン街道を走った時もそうでした。ドイツのパン屋さんは朝が早いというのは全国共通なのかもしれません。
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カールス門からマリエン広場に向かうノイハウザー通り(Neuhauser Srtaße)に面して、日本でも有名なH&M, ZARAそしてSWALOVSKI(ダイヤ宝飾企業)が二店舗も並んでいるのには少々驚きました。日常的にそれだけ人が入るのが入るのでしょうか。新市庁舎やフラウエン教会の辺りを1時間程ぐるりと散策し、宿に戻って朝食です。
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宿にもよりますが、ドイツの朝食時のパンの種類の多さには驚きます。この日はハム、チーズ、果物などがふんだんに揃っていて満足でした。木の実をまぶしたパンは噛むほどに美味しさが口の中に広がります。基本は火を通していない食材が中心で、唯一ゆで卵が温かい食材です。朝食を別途チャージするところでは、スクランブルエッグやソーセージ、ベーコンを提供するところもあります。しっかりお昼のサンドイッチも準備してミュンヘン中央駅に向かう。
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午前9時半過ぎの中央駅は、遅めの通勤者も含め多くの乗客で賑わっていました。駅構内にはカフェや売店が所狭しと出店しています。握り寿司や巻き寿司を販売する店もあり驚きました。もっともオーナーは日本人ではないのかもしれません。

ドイツ鉄道の中央駅というのは、ミュンヘンに限らず、昨年利用したフランクフルト、カッセル、ブレーメン等、引き込み線の終着駅になっている駅が多いようです。国内各地から到着する長距離列車は、中央駅で一旦乗客を全員降ろし、180度向きを変えて再び各地へ出発します。日本では見かけないシステムです。列車の運行上、一見して非効率のようにも思えます。改札がないことや引き込み線の終着駅、なぜこのようなシステムとなったのか。歴史的な背景を調べてみると面白いことが分かるかもしれません。
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お寿司の売店。ドイツでもお寿司は一定の人気があるのでしょうか。ただし、ネタの色から分かるように、サーモンの握りが目につきます。

この日は、ミュンヘンからドイツ鉄道とスイス鉄道の快速列車を3回乗り継ぎ、スイス東部のヴァレンシュタット(Walenstadt)という湖の畔の小さな町に向かいました。当初、アルプス山中の小国、リヒテンシュタインを自転車走行の出発点と考えていたのですが、欧州自転車旅行のベテランで、これまでにいろいろと旅のアドバイスをいただいているTさんから、ヴァレン湖からのスイスアルプスの眺めは素晴らしいとのお話を聞き、数週間前に変更しました。

所要時間は4時間52分。ヴァレンシュタットまでの列車の行程は以下の通りです。
  1.ミュンヘン中央駅(10:20)28番線 → Lリンダウ中央駅(13:16)6番線 RE57408
  2.リンダウ中央駅(13:25)1番線 → ブレゲンツ(13:37)5AB番線 S1
  3.ブレゲンツ(13:47)3AB番線 → ザンクト・マルグレーテン(14:04) S3
  4.ザンクト・マルグレーテン(14:06)2番線 → ヴァレンシュタット(15:12) S4

事前に割引乗車券をネットで購入したので、中央駅では自転車乗車券を購入するのみです。ドイツ鉄道の自動券売機(写真)の取り扱いには、これまで不慣れなところがありましたが、今回の旅行で漸く基本操作を習得しました。
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自動券売機は要領さえ分かれば、窓口手数料も取られずに素早い購入が可能な便利な装置です。初期画面はこの通りです。ここからの手順については、別途アップする予定です。

1.ミュンヘン中央駅(München Hbf)(10:20) → リンダウ中央駅(Lindau Hbf)(13:16)
乗車したのは、地域快速急行(Regional-Express:RE57408)。この列車は、日本で例えると特別料金不要の長距離快速列車です。関西では「新快速」といったところでしょうか。全車両二階建てで、車内は清潔で快適です。リンダウ中央駅までの所要時間は3時間弱。2階の四人掛けボックス席で車窓を過ぎる風景を眺めながら、ゆったりと列車旅行を楽しみました。さながらテレビ番組「世界の車窓から」といった感じです。途中車内で昼食も済ませました。
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リンダウ中央駅行き地域快速列車。ドイツ鉄道の車体の基本色は赤です。すべての車両に自転車を持ち込めるというわけではありません。自転車のマークの付いた車両をいち早く見つけることが大事になりますが、列車の編成によっても車両の位置が異なるので苦労する時があります。特に乗換時間の短い時などは、経験的には先頭車両はほぼ間違いなく、自転車のマークの付いた車両です。長い編成(例えば、10両編成)の場合、最後尾と中間車両にも自転車のマークがついています。
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車窓からの雪化粧。ミュンヘンから1時間程走ると車窓から雪が残る景色がしばらく続き驚きました。ドイツ北部のハルツ山地のブロッケン山山頂には、毎年4月30日にドイツ中の魔女が集まって来て、「ヴァルプルギスの夜」という祭りで春の到来を祝うという魔女伝説があるそうです。明後日がその日です。これは冬の名残り雪ですね。
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Regional Expressの車内。ボックス席の中にはご覧のような幼児用の座席もセットされているものもあります。
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車内の自転車収容スペース。列車の1階部分が自転車収容スペースです。自転車がないときは折り畳みの座席として使用できます。長距離移動の場合、パニアバックを取り外し自転車のみ鍵をかけて置きます。

2.リンダウ中央駅(13:25) 1番線 → ブレゲンツ(Bregenz) (13:37)5AB番線 Sバーン
この列車はオーストリア・ブルーデンツ(Bludenz)行きです。リンダウから東へ10km足らず進むと、国境を越えてオーストリアに入ります。Sバーンは都市近郊型の短距離列車です。地元の人たちの日常の足となる重要な交通手段ですから乗客の乗降も頻繁です。私たちはリンダウ中央駅から3つ目の駅、ブレゲンツまでの12分間の慌ただしい乗車で、降りた場所はオーストリア、いつの間にか国境を越えていました。
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3.ブレゲンツ(13:47)3AB番線 → ザンクト・マルグレーテン(St. Margrethen)(14:04) Sバーン
ブレゲンツ駅では5AB番線で下車し、3AB番線で乗り換えると表示されています。AB番線ってなんだ?と思わず頭が混乱します。これは一つのホームを前の部分をA番線、後ろの部分をB番線と分けるのです。連結数が多い列車では前後両方に跨るので発着の表示がAB番線となります。2,3両編成の短い車両では、3A番線発車というようなケースも出てきます。

実際に、昨年ハノーファーで、同じホームに前後に行先の違う列車が同時に発車を待つ場面に遭遇しました。発車時間が少し異なる場合、このような配置をするようですが、ホームは同じでも別の列車に乗ったら大変なことになります。
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4.ザンクト・マルグレーテン(14:06)2番線 → ヴァレンシュタット(Walenstadt)(15:12) Sバーン
ザンクト・マルグレーテン駅での乗換時間は時刻表上は2分しかなく、自転車と一緒に素早い移動ができるか心配でしたが、向かいのホームでの乗換で、しかも列車が少々遅れてきたので無事に乗り換えを完了。いつの間にかスイス国内に入っていました。ここからはスイス鉄道を利用することになります。いよいよ最終目的地まで1時間余りとなりました。
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スイス鉄道の列車内の様子。ドイツ鉄道とは車内の設備や雰囲気が変わります。窓やガラスを使用するスペースが一段と大きくなり開放感が広がります。
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スイスアルプスの山並みが迫って来ます。ザンクト・マルグレーテン駅を出発して30分もしないうちに車窓にはスイスアルプスの山並みが現れます。
動画でもどうぞ。https://youtu.be/IQS4GEC4yTo

午後3時12分、列車は定刻通りにヴァレンシュタット駅に到着する。ドイツ鉄道、スイス鉄道ともに時間に正確でした。駅を降り立つと目の前に迫るスイスアルプスの山並みに圧倒されます。それぞれの山の標高は2400m前後ですが、ヴァレンシュタットの町との標高差は1900mにもなります。上高地・梓川から眺める穂高岳連峰は、標高差が1500mですから、それ以上の標高差となります。ご存知の方は想像していただけるかと思います。
https://youtu.be/Z2RvJpzQvfc
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駅からヴァレン湖畔までは自転車で10分もかかりません。湖畔には小さな遊覧船が一隻停泊していました。まだ観光シーズン到来というわけではなく人影もまばらで、スイスアルプスに囲まれた静寂な観光地という印象です。ヴァレン湖(Walensee)は、東西に約20km、南北に約2kmと東西に細長く延びる小さな湖です。氷河によって削り取られた谷が堰き止められて出来上がった湖だと思います。湖の西遠方には、スイスアルプスの核心地に繋がる険しい山並みの一端が望めます。
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宿泊した宿は、ヴァレン湖畔のホテル・シッファート(Hotel Schiffahrt)という家族経営の小さな宿です。目の前にヴァレン湖そしてスイスアルプスの山並みが迫る絶景の宿です。ご覧のような雪化粧の山並みが続きます。急峻な岩肌に残る残雪が山肌の地層を浮かび上がらせていて、山々を横断するように続く横縞は、まさにアルプス造山運動の証だと思います。山並みそのものが、一つの大きな地殻のうねりの中で形成された様子が明確に分かります。地球規模の造山運動の一端を見ることができヨーロッパ大陸の一地点にいるのだという実感が湧いてきました。特に、右側に見える山には縦方向に曲がりくねるように褶曲した地層が鮮やかです。
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宿のレストランで夕食を済ませ、ヴァレン湖畔の遊歩道に散策に出てみると、要所要所にウォーキング者用の道路標示が立っています。スイスでは自転車と共にウォーキングを楽しむ人が多くいるのでしょう。夕暮れが迫ってきていて、時刻はすでに午後8時を回っていますが、それでも山の頂上付近は夕日に照らされていました。
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近くの"Mols"という無人駅のホームに立ってみると、狭いホームの中程に雨避けの小さな小屋があり、そこにご覧のようなスイス鉄道の自動券売機が設置されています。こんな小さな無人駅にも、と驚きますが、ドイツと同じ発想です。券売機の横には詳しい路線図も表示されていて金額も明示されています。これならばこの地になれない人間でも迷わずに目的地までの切符を買うことができるでしょう。午後9時近くになって漸く夜の帳が下りてきました。

4/29 ヴァレン湖(Walensee) → リンダウ(Lindau)
http://dolphin-kick55.at.webry.info/201606/article_3.html

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