2017オーストリア・ドイツ自転車旅行記(8/8)

8月8日(水) 晴れ時々曇り バーデンから再びウィーンへ戻る
バーデン観光を終え、今日は再びウィーンへ戻ります。リング通りのウィーン大学近くにあるベートーベンハウスを訪れた後に、市街北部のハイリゲンシュタットに向かいます。その後、ドナウ川運河に沿って北上し、カーレンベルクの丘に登りウィーン市街を一望します。夕方、再びハイリゲンシュタットに戻り、ベートーベンの住居でもあった老舗のホイリゲ(ワイン居酒屋)で当醸造所のワインとオーストリアの家庭料理を楽しみます。

早めに朝食をすませ、午前8時に宿を出発する。バーデン駅午前8時23分の快速列車に乗り込む。ウィーンに向かう平日のこの時間帯は、日本と同様、通勤時間帯で社内はビジネスパースンがコーヒーを片手に新聞を読んだりしています。日本のようなラッシュはないよいです。30分もしないでウィーン中央駅に到着する。
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ウィーンに向かう快速列車の中で。通勤時間帯とはいえ、このように自転車を収納するスペースはあります。
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ウィーン中央駅に到着する。地上階と地下階のホームを併せると数えきれないほどの数になります。中央駅の構造を探索するだけでも結構楽しいかもしれません。

まずは、リング通りを目指す。午前9時半過ぎに王宮庭園に到着し、モーツァルト記念像を見学。ベートーベンハウスは、リング通りを左回りに進みブルク劇場の少し先、通りを挟んでウィーン大学の真向かいにあります。午前10時10分過ぎに到着する。
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ウィーン楽友協会の建物。今日は外から眺めるだけです。先を急ぎます。
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王宮・ホーフブルク宮殿の庭園に立つモーツァルト像。芝生の中に赤い花でト音記号をあしらっているのが目に留まりました。
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3日ぶりにリング通りの走行です。自動車、トラム、自転車、歩行者と、道路が明確に仕切られていて、しかも道幅も広くとても快適な走行を楽しめます。
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ベートーベンが1804年から4年間と、1810年から4年間の合計8年間住んでいた建物です。ここの4階(日本流では5階)の一区画で交響曲第5番「運命」が誕生したそうです。現在、ベートーベンの住居だった区画がミュージアムになっていますが、それ以外は一般の人が住んでいます。
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ハウスの一階部分の入口。朽ちた部分のある木の扉が建物の古さを物語っています。
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ベートーベンが愛用したピアノの前で。このピアノを使って数々の名曲を生み出したのだと思います。
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ベートーベン直筆の交響曲第5番「運命」のイントロ部分の楽譜です。筆圧の大きさ、荒々しく踊り、判読の難しい音符を見ると、ベートーベンの気性が楽譜にそのまま表れているように思えます。昨日、聖シュテファン教区教会で見たモーツァルとの楽譜とは対照的です。「運命」といえば、中学、高校時代に聴いたカラヤンやフルトベングラーのベルリンフィル、ウィーンフィルの演奏が思い浮かびます。
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ベートーベンのデスマスク。横から撮ってみました。
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ベートーベンの居室からの街の風景です。リング通りを挟んで正面は、ウィーン大学の建物です。


次に向かったのは、ハイリゲンシュタット遺書の家です。ウィーン市街北部のヌスドルフ(Nußdorf)まではドナウ運河に沿った自転車道路を進む。朝から青空が広がり、ロードレーサーでトレーニングするアスリート集団や私たち夫婦と同様にロングツーリングを楽しむカップルなど、様々なスタイルのサイクリストとすれ違う。ヌスドルフから住宅街を山間に上っていくとハイリゲンシュタットに到着する。ベートーベンが難聴悪化に悩み、死を決意し遺書を書いたという家は、残念ながら工事中ということで見学することはできませんでした。
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ドナウ運河に沿ってハイリゲンシュタット方面に向かう途中、電動二輪車で走行するグループに遭遇する。時速20km程度のスピードで移動します。結構速い。
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ドナウ運河に沿って走る自転車道路。道幅が広く、上下方向のすれ違いも余裕があり、気を使うことはありません。
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橋桁の壁や並行して走る自動車道の壁には、ほとんど全てがウォールアートのキャンバスになっています。描かれている絵は、結構見応えがあったりして、もしかして無名アーティストの表現の場なのかもしれません。
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ハイリゲンシュタット遺書の家。細い路地に一般の家と並ぶように立っています。あいにく工事中で中に入ることはできませんでした。


ハイリゲンシュタットにはベートーベンに因んだ観光ポイントがこの他にもいくつかあり、そのうちの一つである”Beethovenweg(ベートーベンの散歩道)”に向かう。現在は閑静な住宅街の中に、シュライバー川という水量の少ない小さな川に沿って約1kmほど続いています。ここで、ベートーベンは交響曲第6番「田園」の構想を練ったそうです。
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ハイリゲンシュタット遺書の家から自転車で数分のところにベートーベンの散歩道があります。ここはベートーベンの散歩道だったそうで、交響曲第6番「田園」はこの道で曲想を練ったそうです。中学、高校時代はクラシック音楽に傾注していた私にとって、特に、ベートーベンの交響曲の中でも「田園」が一番のお気に入りで、少ない小遣いの中から当時、ブルーワルター指揮、コロンビア(ニューヨーク?)交響楽団の「田園」をよく聴きました。
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散歩道に沿って流れるシュライバー川。水量も少なくどこにでも見かける小さな川でした。ベートーベンの時代はどんな流だったのでしょうか? 川の流れや木々に目をやりながら「田園」の曲想を練るベートーベンがここに実在したのだと。


再び、ヌスドルフの街に下り、ドナウ運河からドナウ河本流へと移り、カーレンベルクの丘の麓へ向かう。麓に自転車を駐輪し観光マップを見ると、丘の上の展望台までいくつものルートがあり、さてどのルートで上がろうかと思案していると、葡萄畑の中を走る急勾配の舗装道路を、若い女性が猛烈な勢いで下ってきました。話を聞くと、彼女は自転車競技の女性アスリートで、近くレースに参加するそうで、展望台までの急坂を何度も往復するトレーニングをしているとのこと。見るからに10°を超える急峻な斜度です。彼女の話によると、歩いて登るのであれば右側のハイキングコースの道が山道でお勧めだということなので、そちらを選ぶことにしました。

葡萄畑から林に変わり、木々の中を小川を越えながら50分程上ると展望台に到着する。ちょっとした山歩きでした。展望台付近の上部にはアドベンチャーワールドのような遊具が木々の間に掛けられて、子供たちの歓声が聞かれました。

午後1時20分、カーレンベルクの丘の展望台に到着する。風が強く肌寒いくらいでした。展望台からは眼下に広がる葡萄畑の向こうに、左にドナウ河の流れ、中央にウィーン市街の建物、そして右にウィーンの森へと広大な風景が広がります。しばらく、家内と二人で眺め入っていると、若い男性から日本語で話しかけられました。お父さんがドイツ人でお母さんが日本人という若者で、現在秋田の大学に通っているとのこと。夏休みを利用してお父さんの実家に初めて訪問し、その後ユーロレイルパスを利用してオーストリア、ハンガリー、チェコなど東欧諸国を一カ月かけて旅をしている最中だということでした。お金がなく、ネットでホームステイできる家を見つけて渡り歩いているという、元気のよい怖いも の知らずといった若者でした。
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ウィーンの森の北端に位置するカーレンベルクの丘からウィーン市街を望む。手前に広がるのは一面葡萄畑、その向こうにドナウ川は新旧二本に分かれて流れています。

https://youtu.be/gJ-ySdiR7yw
カーレンベルクの丘からの眺めです。眼下にはドナウ河、ウィーン市街そしてウィーンの森へと広大な風景が楽しめます。

展望台から麓までは、女性アスリートがトレーニングで使っていた舗装道路を下る。葡萄畑の中にホイリゲがあり、ウィーン市街を遠望しながら新酒のワインはさぞかしおいしいだろうと想像しました。
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カーレンベルクの丘の中腹には葡萄畑が広がっています。外国人観光客で溢れるオーストリア最大の都市ウィーン、その市街部から少し離れると、そこには一面に葡萄畑が広がる、そんな風景を遠望すると、オーストリアが観光と農業の国あることがよく分かります。
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道沿いに続く葡萄畑に目を向けると、収穫にはまだ早いのでしょうが、白ワイン種の葡萄が実をたわわに育っていました。
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この辺りの葡萄畑を所有する農園の「ホイリゲ」です。まだお客が入る時間帯ではなく閑散としていましたが、ウィーン市街とドナウ河の遠景を眺めながら地元のワインと家庭料理に舌鼓を打ちながら気の合った友人たちと語り合うのがウィーン市民の楽しみなのだと思います。日本なら冬居酒屋で鍋をつつきながら蔵出し日本酒を心ゆくまで飲むことでしょうか。
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カーレンベルクの丘を下山し、再びウィーン市街へ向かう。ドナウ河右岸の自転車道路は片側1車線の自動車道路よりも広いほどです。河岸に横付けされているのは豪華クルーズ船、右上にはオーストリア鉄道の近郊線が走っています。

午後4時過ぎにホテルに到着する。午後6時過ぎに400年余り前に創業し、200年前にはベートーベンも住居としたという老舗のホイリゲで夕食をいただく。
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ウィーンの代表的なホイリゲの一つマイヤー(Mayer am Pfarrplatz)。葡萄園の歴史は1683年に遡るとのこと。1817年にベートーベンがこの家に住み、交響曲第9番を作曲した家でもあり、今年は200周年記念の年だそうです。
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1817年、ベートーベンが滞在した時の様子が説明されています。
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ホイリゲの庭。夏は屋外がいいですね。夕方は涼しくなります。
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料理はほとんどがセルフサービス方式です。自分の好みの料理を好きな量だけ注文出来ます。オーストリアの家庭料理がたくさん並べられています。
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鳥のもも肉、ナスとズッキーニの炒め物、奥はザウワークラフト。
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ロールキャベツとローストビープが並んでします。ローストビーフは大きな塊で並んでいて、注文に応じてその場で切ってくれます。
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生ハムやソーセージ塁もたくさん並んでいます。手前はあまりなじみのない練り物です。
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私たちが食したのは、野菜サラダ、特大ソーセージとザウワークラフト。それに、、、
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スペアリブの大きさも普通ではありません。これは注文料理です。
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ローストビーフ、ズッキーニとなすの炒め物。

朝から晩までベートーベン尽くしの忙しい一日でした。(続く)

走行距離:28.62km(累積走行距離:168.1km)

8月9日(木) ウィーンからクレムス(Krems an der Donau)
http://dolphin-kick55.at.webry.info/201712/article_2.html

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